枕経は、故人のまくらもとで読むお経のことで、納棺前に行います。ただ、現在では自宅以外の場所でお通夜や葬儀を行うことが多くなり、枕経が行われないことも多くなりました。また、宗派によっても違いがあり、枕経を行わない宗派もあります。
枕経の際は、僧侶と今後の葬儀、法要日程について話し合いましょう。僧侶、斎場や火葬場のスケジュールをすべて調整する必要があります。また、葬儀における弔電の読み上げ順、生花、花束の配置確認を行います。
故人をお清めし、死に装束を着せます。
故人と付き合いのあった友人や知人への連絡です。お通夜と葬儀の日程や場所についてお知らせします。
葬儀は本来、単独の「儀式」であり、家族や親族が故人の冥福を祈る時間でした。しかし、現在では、お通夜から始まる一連の儀式を指すようになりました。
お通夜は本来、家族のための時間でしたが、最近は友人やビジネス関係者などの一般参列者が多くなっています。これは、お通夜か告別式のどちらかに参列することが、慣例化していることが影響しているようです。
受付→僧侶来場→お通夜開始→読経→僧侶退場→通夜振る舞い→お通夜終了
本来のお通夜の流れは上記の通りです。お線香の火は、一晩中絶やさぬよう、交代で番をします。
しかし、ライフスタイルの変化により、お通夜の形も変わりました。消防上の理由から、葬儀場でも一晩中お線香の火を点けておくことが難しくなりました。そしてお通夜のスケジュールも開始時間が早まり、式の所要時間も短くなりました(半通夜)。
半通夜は最近ではもっとも多い形のお通夜です。通常のお通夜よりも儀式の流れが簡略化され、式が始まってから、長くても3時間程度で閉式となります。焼香が終わると僧侶が退場することも多くあります。その後、参列者を「通夜振る舞い」でもてなしますが、1時間ほどで終わってしまうことも多いようです。
葬儀社が供花のリストを作ってくれますので、社会的地位、故人との関係により、並びを決定します。
席の順番がそのまま焼香の順番になるため、関係を配慮して席順を決めましょう。通常は祭壇向かって右に家族、親族。左側に親しい友人やビジネス関係者などが座ることが多いようです。
葬儀社は、葬儀社と言うだけあって葬儀のプロフェッショナルです。基本的には指示に従っていれば大丈夫です。僧侶へのお布施の受け渡しについても同様です。喪主、そして家族は、葬儀社が準備してくれる、たとえば返礼品の数に間違えが無いかなどをチェックする役割が多くなるでしょう。
お通夜での喪主の役割に、参列者へのあいさつがあります。「故人が亡くなったこと」「生前の感謝」「参列への感謝」を簡潔に表しましょう。
受付→開式→読経→僧侶によるご焼香→弔辞、弔電の読み上げ→参列者によるご焼香→閉式
上記が一般的な葬儀の流れです。
葬儀と告別式と書きましたが、その通り、本来は別々の儀式でした。葬儀は家族や親族のための時間でした。一方、告別式は友人、知人、ビジネスの関係者やご近所さんのための時間でした。
しかし現在ではこの両方が、一連の流れとして行われるようになりました。
最近は友人、知人などの一般参列者は、お通夜か告別式のどちらか一方へ参列することが慣例となっています。仕事の関係もあり、一般参列者はお通夜に集まる傾向があるようです。
生花を棺の中に供え、合掌します。喪主から順番に行い、故人が好んだ食べ物や衣類なども供えることができます。その後、火葬場へと向かいます。
火葬→精進落とし
火葬場に到着したら、火葬許可書を火葬場に提出します。焼香と読経が行われ、ご遺体が炉の中で焼かれます。家族は火葬中、控え室で待機します。火葬が終わったら、遺骨箱に拾骨します。
「精進落とし」は、本来は神事などの行事終了後、肉や酒などを再び取り始めることを言います。現在は、火葬後に僧侶や葬儀に関わってくれた人々への感謝の気持ちとして、食事や酒を提供することを「精進落とし」と称することが多くなりました。地域差も多くありますが、喪主はひとりひとりの席をまわり、出席者に感謝の意を表します。
地域により葬儀のやり方に違いがありますが、葬儀にかかる費用の全国平均は約200万円だと言われています。葬儀についてよく知っているという人は、そうはたくさんいないでしょう。葬儀を依頼する側に知識が無いことで、悪徳業者による不適正な金額請求なども度々報告されています。
現在、人々のライフスタイルの変化に合わせて、葬儀の形も変わってきています。インターネット上でも葬儀社の情報を多く集めることが可能な世の中です。信頼できる業者を探す手段として、インターネットは強力なツールとなっています。
これまで葬儀の基礎知識についてご紹介してきました。死は突然やってくることもありますが、その事態に備えておくことは重要です。今回ご紹介した葬儀の流れでは、事前に葬儀社と葬儀の段取りをつけているのでは無く、死後に依頼するケースでご紹介しました。しかし、事前に段取りを済ませていれば、葬儀社との信頼関係が既にある中で、一連の流れを進めることができるので、ひじょうに心強いことでしょう。
葬儀費用についても少しだけ触れました。葬儀の形は年々変化し、一連のイベントは簡略化の方向にあります。また、ライフスタイルや考え方の変化は、よりオリジナリティーのある葬儀の形も可能にしています。